漆黒スープと乾麺の衝撃!なぜ「竹岡ラーメン」に全国の美食家が殺到するのか

漆黒スープと乾麺の衝撃!なぜ「竹岡ラーメン」に全国の美食家が殺到するのか

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厨房を覗けば、常識はさらに覆る。一般的なラーメン屋の象徴である巨大な寸胴から立ち上る骨の匂いがない。店内に充満しているのは、甘辛く焦げた純粋な醤油の香気だけだ。

作り方は驚くほど簡潔を極める。地元・富津市佐貫の名蔵元「タマサ醤油」で豚バラ肉をじっくりと煮込み、豚の旨味を極限まで移した煮汁を作る。丼にそのタレを豪快に注ぎ、麺の茹で湯を柄杓で注ぐ。それだけだ。鶏ガラも、豚骨も、煮干しも入っていない。

「出汁がないからまずい」などと切り捨てる者は、最初の一口で言葉を失う。豚肉から溶け出した濃厚な動物性油脂とアミノ酸が、熟成醤油の角を絶妙に丸め、湯で割られることで暴力的な香気を爆発させる。計算し尽くされた足し算の現代ラーメンとは正反対の、引き算の果てに残った原初のエネルギー。ひと口啜れば喉が渇き、喉が渇くのにまたレンゲが止まらなくなる。地元民が「黒い魔薬」と呼ぶ所以だ。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。