「世界最大の生物は動物ではない」という事実は、現代の生物学界において広く知られる定説となっています。その頂点に君臨するのが、アメリカ・オレゴン州東部のマルヒュール国有林に生息する菌類、オニナラタケ(学名:Armillaria ostoyae)です。
地上に顔を出すキノコそのものは数センチから十数センチ程度のありふれた姿をしていますが、本体である地下の菌糸束(根状菌糸束)は想像を絶する規模で連結しています。1990年代後半から始まった森林局や研究機関の大規模なDNA解析調査により、森林一帯に広がる菌糸がすべて「同一の遺伝子(クローン)」を持つ単一の個体であることが科学的に証明されました。
オニナラタケの占有面積は約9.65平方キロメートル(約965ヘクタール)に達し、これは東京ドーム約206個分、あるいは日本の皇居の約8倍に相当します。推定樹齢(菌齢)は2400年から8600年と見積もられており、エジプトのピラミッド建設以前から生き続けている計算になります。総重量も数百トンから数千トンに及ぶと試算され、「面積基準における世界最大の単一生物」としてギネス世界記録にも公式認定されています。