The Green Door和訳|小説の結末と名曲歌詞に潜む緑の扉の真相

The Green Door和訳|小説の結末と名曲歌詞に潜む緑の扉の真相

The Green Door和訳|小説の結末と名曲歌詞に潜む緑の扉の真相にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

日本国内のWeb上や教育機関で広く参照されているのが、オー・ヘンリーの短編小説『緑の扉(The Green Door)』です。石波杏氏による翻訳や、高校英語教科書「CROWN English Reading」の採択文として親しんだ読者も多いことでしょう。

冒頭の一節は、大都市の匿名性と冒険への期待感を鮮烈に描き出しています。

「大都市ニューヨークでは、冒険がいつでも待ち受けている。夕食を済ませたあなたがブロードウェイを歩いているとしよう。悲劇を見ようか、それともボードビルの喜劇を見ようかと考えながら、10分かけて葉巻を燻らせているとする――」(翻訳家・石波杏訳テキストおよび教材対訳データより再構成)

主人公の青年ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner)は、単なる事務員でありながら、心の中では中世の騎士のような純粋なロマンスを信じ続ける青年でした。ある夜、ブロードウェイの路上で歯科医の広告カードを配っている黒人の男から、一枚の紙片を受け取ります。そこには手書きで、ただ一言こう記されていました。

「The Green Door(緑の扉)」

気になったルドルフが人混みを一周して再び男の前を通り過ぎると、またしても同じ「緑の扉」のカードを渡されます。通りを行く他の人々には普通の歯科医のチラシを配っているにもかかわらず、自分にだけ3度、4度と渡される謎の合図。これを「運命からの召集令状」と確信したルドルフは、男が立っていた雑居ビルの薄暗い階段を駆け上がります。

2階の廊下に並ぶ無数の扉の中から、彼が見つけ出したのはペンキで塗られたまさに「緑の扉」でした。覚悟を決めてノックすると、中から現れたのは飢餓によって今にも倒れそうな20歳の薄幸な娘。彼女は職を失い、3日間も食事を口にしていませんでした。ルドルフはすぐに階下へ駆け下り、温かいローストビーフやパンを買い集めて部屋に戻り、彼女の手料理を共に味わいながら穏やかな会話を交わします。

帰り際、再会の約束を交わしたルドルフは幸福感に包まれて廊下に出ます。しかし、彼がそこで目にしたのは衝撃の光景でした。アパートのすべての部屋の扉が、一様に鮮やかな「緑色」に塗られていたのです。

混乱したルドルフが通りに戻り、カードを配っていた男に「なぜあのカードを私に渡したのか」と問い詰めると、男は平然と答えます。「旦那、ビルの2階にある『緑の扉の劇場(The Green Door)』っていうボードビル劇場の宣伝ですよ。1枚配るごとに4セントもらえるもんでさ」。

すべては単なる商業広告のビラ配りに過ぎず、自分が選ばれたわけでも、運命の糸が引かれていたわけでもありませんでした。しかし、結末でオー・ヘンリーは読者に語りかけます。街角の欺瞞に満ちた偶然の連鎖であったとしても、ルドルフが信じた運命の力だけは、確かに一人の命を救い、恋の奇跡を手繰り寄せたのだと。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。