「クワガタ=クヌギ」という図式は決して間違いではありませんが、それだけに囚われていると絶好の採集ポイントを見落とすことになります。クワガタが特定の木に集まる決定的な理由は、発酵した樹液の存在と外敵から身を隠せる隠れ家の構造の2点にあります。
特に河川敷や低地では、ヤナギ類(タチヤナギなど)やハルニレがクワガタの宝庫となります。北海道や東北などの寒冷地から都市部の水辺周辺まで、ハルニレやヤナギは細い枝先から幹周りまで豊富な樹液を出し、ノコギリクワガタやコクワガタ、ヒラタクワガタを引き寄せます。また、山間部ではミズナラやイロハモミジなどのカエデ類、柑橘類の果樹園周辺ではミカンやイチジクの木にも集まる事例が多数報告されています。
「どんぐりの木とクワガタ」という結びつきが強いのは、ブナ科の樹木(クヌギ、コナラ、ミズナラ、シイ、カシ類)が豊富に樹液を分泌しやすいためですが、自然界にはそれ以外にもクワガタを育む樹木が多数自生しています。