『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでは、旧作の設定をベースにしながらも、レイという存在の背景と結末に劇的な再構築が施されました。『破』でシンジのために味噌汁を作り「ポカポカする」と感情を芽生えさせたレイ(通称:ポカ波)は、第10使徒に捕食された後、シンジによって初号機内部へサルベージされます。
しかし、『Q』で登場した黒いプラグスーツのレイは、以前の記憶を一切持たない別個体「アヤナミレイ(仮称)」でした。彼女は命令に従うだけのクローンとして配置されていましたが、完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』において訪れた「第3村」での生活が、彼女の背景を根底から塗り替えます。
鈴原トウジやヒカリ、村の農婦たちとの触れ合いを通じて、彼女は「おはよう」「ありがとう」という言葉の意味を学び、赤ん坊を抱き、泥にまみれて稲を植える労働の喜びを知りました。命令によって作られたアンドロイドのような存在が、他者との共同生活の中で自発的な心を持つ「ひとりの人間」へと成長を遂げたのです。
調整を受けられない肉体の限界により、彼女はシンジの前でL.C.Lとなって消滅してしまいます。しかし、その魂と想いは初号機深層に保存されていた「オリジナル(ロングヘアのレイ)」へと受け継がれました。最終的にマイナス宇宙での対話を経て、シンジが「エヴァのない新しい世界(ネオンジェネシス)」を創出したことで、彼女はエヴァンゲリオンの呪縛から完全に解放され、自由な現実世界へと旅立つ結末を迎えました。