新鮮なリンゴをかじったり、生のモモを食べたりした際に感じる喉のかゆみや違和感の正体は、主に「口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndrome)」、近年ではより広義に「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」と呼ばれる即時型アレルギー反応です。
なぜ果物を食べているのにアレルギー反応が起きるのか。その鍵を握るのが「交差抗原性(交差反応)」という生体メカニズムです。樹木花粉の代表格であるシラカンバ花粉やハンノキ花粉に含まれるアレルゲンタンパク質(PR-10ファミリーなど)と、バラ科果物に含まれるタンパク質の立体構造が酷似しているため、免疫システムが「侵入してきた敵(花粉)」と誤認して過剰に攻撃を仕掛けてしまいます。
特に北海道や東北地方、甲信越地方に多く自生するシラカンバ花粉症の患者では、実に40〜50%以上が何らかの果物アレルギーを併発していると報告されています。また、スギ花粉症の時期に症状が重なるハンノキ花粉によって、知らぬ間に感作が進んでいるケースも少なくありません。幼少期には問題なく食べられていた果物が、成人後に突然食べられなくなるのは、花粉症の発症によって免疫の抗体価(IgE抗体)が限界値を超えてしまうことが直接の契機となっています。