ハムスターの臭腺(腹部腺・側腹腺)は、縄張りの主張(マーキング)や個体識別、フェロモンの分泌を担う極めて重要な器官です。人間にとっては独特の焦げたような臭いやチーズのような発酵臭に感じられることがありますが、これは正常な生理現象です。まず押さえておくべきは、ハムスターの種類によって臭腺が存在する位置が全く異なるという点です。
ドワーフ種(ジャンガリアン、ロボロフスキー、キャンベルなど)の場合、ジャンガリアン臭腺はおへその位置、つまり下腹部の中央に1カ所存在します。特にオスは分泌が活発で、成体になると黄色い皮脂が固まって中央にくぼみや突起を作ります。一方、大型のゴールデンハムスターの臭腺位置は左右の腰(脇腹から背側にかけて)に対称に2カ所あり、黒っぽい斑点のように見えるため、初めて飼育する方が「皮膚病のホクロやダニでは」と誤認するケースが目立ちます。
ハムスター臭腺が臭い原因の多くは、発情期や縄張り意識の高まりに伴う皮脂分泌の増加です。ケージ内を過剰に大掃除して自分の匂いが消えてしまうと、パニックを起こして臭腺をしきりにケージの角や床材に擦り付け、分泌過多に陥る悪循環も見られます。