知名度の急上昇と比例して、ネット上で大きな物議を醸してきたのが「人気団員の相次ぐ退団」や「オーディションでの残酷な落選劇」です。動画内で親しまれていたプリンシパル候補や主力ソリストが突然の退団を発表するたび、SNS上では「過重労働が原因ではないか」「指導部との軋轢か」といった憶測が飛び交いました。
しかし、関係者の証言と当事者たちの発言を丹念に精査すると、そこには外からは見えにくい複数の現実が存在します。第一に、カメラが常にリハーサル室に入り、精神的重圧や評価の瞬間が全国に配信されることに対する「プライバシーの消耗」です。芸術家としての内面を切り売りされるプレッシャーに耐えかね、純粋に静かな稽古環境を求めて海外や他団体へ移籍する選択をしたケースは少なくありません。
第二に、プロの舞台芸術におけるシビアな実力主義です。芸術監督の髙部尚子が掲げる基準は妥協を許さず、YouTubeでの人気度やフォロワー数に関係なく、役柄に適した技術と体幹、表現力を備えていなければ容赦なく落選の告知が下されます。密着動画に記録された「主役降板」や「契約ランクの降格」に涙するダンサーたちの姿は、作り物の演出ではない、プロスポーツの世界と同じ過酷な選別プロセスの真実を証明しています。