無数に存在する異体字の中で、現代日本の全人口の99%以上を占めるのが「4大斉藤」と呼ばれる主要4グループです。名字由来に関する民間調査機関および公的電話帳データの集計によると、全国に約120万人から130万人存在する「さいとう」姓の内部シェアは、明確な傾斜を描いています。
最も比率が高いのは「斎藤」で全体の約50%前後を占め、次いで書きやすい新字体の「斉藤」が約33%を記録します。本来の格式ある旧字体である「齋藤」が約14%前後で続き、難読文字として知られる「齎藤」は1%に満たない極めて希少な存在です。
それぞれの文字の成り立ちには明確な機能差があります。「斎」は心身を清める「物忌み(ものいみ)」を指し、「齋」はその厳格な旧字体です。一方、「斉」は本来「平等・整う」を意味する別系統の文字でしたが、当用漢字・常用漢字の変遷の中で「斎」の簡易慣用形として社会に広く受容されました。また、「齎」は「もたらす(持参する)」を意味する漢字であり、厳密には意味が異なりますが、偏や旁の類似性から戸籍登録時に転化して定着したと分析されています。