ネット上の掲示板やSNSでは、「神奈川全県模試は大手塾の模試に比べて偏差値が低く出る」という噂が散見されます。しかし、この言説には重大な誤解が含まれています。
大手進学塾の内部模試は、もともと学力意欲の高い自塾生のみで構成されるため、集団全体のレベルが高く、上位校志望者の中での位置づけを測るのに適しています。一方、神奈川全県模試は県内全域の多様な学力層が均一に含まれるため、神奈川県公立高校入試の全受験者分布に極めて近い正規分布を描きます。
つまり、難関塾模試と全県模試で偏差値の出方が異なるのはテストの欠陥ではなく、「どの母集団を基準にした偏差値か」という統計上の差異に過ぎません。公立高校の一般的なボーダーラインを判断する上では、全県模試の偏差値の方が実際の合格ラインと寸分違わず合致するというのが、長年の追跡調査が示す結論です。
もう一つの盲点は、合否判定における「内申点(調査書)」の扱い方です。神奈川全県模試の成績表では、単なる当日のテスト得点だけでなく、生徒が入力した内申点と模試得点を各志望校の選考基準比率(内申:当日点:特色=例えば3:7:2や4:6など)に当てはめて算出した「S値(総合数値)」に基づく合格判定が出力されます。この内申連動型の志望校判定を読み飛ばし、偏差値の数字だけで一喜一憂してしまうことこそが、受験生が陥りやすい最大の落とし穴です。