ネット上の言説や就職活動中の求職者の間で頻繁に混同されるのが、ヤマハ音楽振興会とヤマハ株式会社の違いです。両者は歴史的・資本的に極めて深い結びつきを持ちながらも、法人格から設立趣旨、事業の収益構造に至るまで明確に区分されています。
東証プライム市場に上場する「ヤマハ株式会社」は、ピアノや管弦楽器、音響機器の製造販売を手がける民間営利企業です。一方、1966年に当時のヤマハ(当時は日本楽器製造)社長であった川上源一氏が私財を投じて設立した「一般財団法人ヤマハ音楽振興会」は、音楽教育の普及、音楽指導者の育成、文化事業の振興を目的とした非営利の公益的法人です。
ヤマハ音楽振興会の活動領域は極めて多岐にわたります。代表的な事業の筆頭が「ヤマハ音楽教室」の教育システムおよび教材の企画・開発です。幼児期から一貫した音感教育を行うカリキュラムは世界40以上の国と地域へ輸出され、グローバルスタンダードとしての地位を確立してきました。
さらに、同振興会は日本のポピュラー音楽史を塗り替えた一大発信地でもありました。かつて中島みゆき、CHAGE and ASKA、クリスタルキングなど数々のレジェンドを生み出した「ポピュラーソングコンテスト(通称:ポプコン)」の主催母体であり、現在も子どもたちが自作曲を発表する「ジュニアオリジナルコンサート(JOC)」を通じて、卓越した即興演奏力や作曲能力を持つ若手アーティストを継続的に輩出し続けています。