一般的な生姜焼きのレシピ本を開くと、必ずと言っていいほど「豚肉を生姜醤油ダレに15〜30分漬け込む」という工程が記載されています。しかし、タモリ氏はこの基本手順を真っ向から否定します。豚肉をタレに漬け込まないことこそが、肉を最高に柔らかく仕上げる最大の秘訣なのです。
醤油や塩分を含んだ調味料に生のお肉を長時間浸しておくと、浸透圧の働きによって肉内部の水分が外へ逃げ出してしまいます。その結果、フライパンで熱を加えた瞬間にタンパク質が急速に凝固し、パサついて硬い食感になってしまうのが生姜焼きのありがちな失敗パターンです。
タモリ流では、肉に下味を染み込ませるのではなく、「肉本来の水分を保ったまま焼き上げ、最後に濃厚なタレを表面にしっかり絡ませる」というアプローチをとります。この発想の転換によって、噛んだ瞬間にジュワッと肉汁があふれる、しっとり極上の食感が生まれます。