事態が動いたのは、海洋放出開始から間もない時期の出来事でした。首相官邸で行われた閣僚会議の後、当時の農林水産大臣であった野村哲郎氏が取材陣に応じた際、処理水を「汚染水」と言い表したことがすべての発端となります。
この発言の直後、官邸記者会見や各種ニュースを通じて瞬く間に報じられました。NHKニュースをはじめとする大手報道機関が一斉に速報を流すと、与野党双方から即座に激しい批判が噴出。安全性を主張してきた政府の立場を自ら揺るがす発言に対し、当時の岸田文雄首相は直ちに謝罪と発言の全面撤回を野村大臣に指示しました。同日夜、野村氏は急遽記者会見を開き、緊張した面持ちで「言い間違いであった」と頭を下げて謝罪。撤回に応じざるを得ない追い込まれた状況が浮き彫りになりました。