みやぞんの少年時代を語る上で欠かせないのが、数々の「貧乏エピソード」です。一家の生活は常に困窮しており、母親は生計を立てるために足立区で小さなスナックを切り盛りし、昼夜を問わず働き詰めでした。家には十分な食べ物がない日も日常茶飯事だったと本人が証言しています。
ある日、お腹が空きすぎて泣きそうになったみやぞん少年が「お母さん、お腹が減ったよ」と訴えると、母の春恵さんは真顔でこう言いました。
「自分の耳たぶを噛んでごらん。カルビの味がするから」
みやぞんは言われた通りに一生懸命耳たぶを噛み、「本当だ、味がする!」と笑ったといいます。また、夕食の食卓にキャベツの千切りだけが山盛りに盛られ、ソースをかけただけで「今日はトンカツだよ!」と満面の笑みで出されたこともありました。クリスマスに買ってもらえたプレゼントの箱を開けると中身は空っぽで、「そこには夢がいっぱい詰まってるのよ」と抱きしめられた話も有名です。
嘘のような話ですが、みやぞんの母親が残した名言の数々は、苦境を乗り越える哲学に満ちています。
- 「自分の機嫌は自分で取るの」
- 「生きてるだけで丸儲け。笑っていれば何とかなる」
- 「プラモデルを買ってあげられなくてごめんね。でもね、そのぶん大耕は誰よりも豊かな想像力が育つよ」
- 「人に花をあげるような気持ちで優しく接しなさい」
欠乏を「不幸」として嘆くのではなく、「知恵と想像力を伸ばすチャンス」へと変換する母の言葉が、みやぞんの天真爛漫な人間性と卓越した即興力、音楽的才能の苗床となったことは間違いありません。