この慣用句を深く理解する鍵は、そぞろ意味古語の成り立ちにあります。平安時代の古典文学(『源氏物語』や『徒然草』)において、「そぞろ(すずろ)」は「これといった理由がないさま」「思いがけないさま」「あてもなく心が動くさま」を意味する副詞・形容動詞として頻出しました。例えば「そぞろ神(人の心をあおり立てて落ち着かなくさせる神)」という言葉があるように、自制心を越えて湧き上がる情動を指していました。
気もそぞろ語源由来を辿ると、この「そぞろ」に「気(精神・意識)」が結びつき、「心がふわふわと定まらず、一つの処に留まらない」という現在の慣用句へと昇華していった経緯があります。なお、気もそぞろ漢字表記としては「気も漫ろ」と書きます。「漫」は「散漫」や「漫然」の字にも使われるように、「決まった枠組みを持たずに広がる・あてどなく流れる」という意味を内包しています。公用文や現代の一般的なWebコンテンツでは、可読性を考慮してひらがなで「気もそぞろ」と表記するのがデファクトスタンダードです。