ネット上のQ&AサイトやSNSの歴史議論などでよく見られる最大の誤解が、「栄光の孤立=江戸時代の日本のような鎖国政策や、国際社会からの引きこもり」という言説です。これは歴史的事実から大きくかけ離れています。
当時のイギリスは、鎖国どころか「人類史上最大のグローバル帝国」として世界中を飛び回っていました。アフリカ縦断政策を進めてカイロからケープタウンまで勢力圏を広げ、インド帝国を「帝冠の宝石」として君臨させ、アジア・中東でロシア帝国とユーラシアの覇権を争う「グレートゲーム」を展開していたのです。
つまり、イギリスが孤立していたのはあくまで「ヨーロッパ大陸の国家間における常設軍事同盟」に限定された話でした。自国の権益を巡る局地戦や砲艦外交には極めて積極的であり、国際問題に介入しないという意味での孤立主義(アメリカのモンロー主義など)とは全く性格が異なる点に注意が必要です。