アルコールが触れた瞬間にフローリングが白濁する主因は、木材の表面を保護しているアクリル樹脂系ワックスの化学変化にあります。一般的な家庭用フローリングに塗布されている樹脂ワックスは、水分が蒸発する過程でポリマー分子同士が密に結びつき、平滑で透明な保護被膜を形成しています。
高濃度のエタノール(エチルアルコール)が滴下すると、樹脂の結合が一時的に溶解・再配列を起こします。その際、エタノールと空気中の微細な水分が膜内部に取り残されたまま急激に乾燥することで、樹脂層の内部に無数の微小な空隙(ミクロポア)が発生します。この空隙が光を全方向に乱反射させる結果、人間の目には「床が真っ白に変色した」と知覚されるわけです。
変色したように見えても、ダメージを受けているのは最表面のワックス層(厚さわずか数十ミクロン)にとどまります。基材である合板や無垢材の木質繊維そのものが破壊されているわけではないため、乱反射を起こしている樹脂の隙間を埋めるか、変質したワックス層のみをリセットすることで、元の美しい木目を完全に復元できます。