なぜ乱歩は、自らの頭脳を異能だと思い込むようになったのでしょうか。その背景には、武装探偵社の社長である福沢諭吉との運命的な出会いがありました。
小説『探偵社設立秘話』およびアニメ第4期冒頭で描かれた過去編によると、乱歩の両親はともに天才的な頭脳の持ち主でした。両親から見れば当たり前だった高い知能基準で育った乱歩は、「自分に見えている真実は、世界の誰もが見えている」と信じ込んでいたのです。
両親の急死後、社会に放り出された少年・乱歩は、他人がなぜこんなにも愚かで、当たり前の嘘や矛盾に気づかないのかが理解できず、周囲の人間を「わけの分からない怪物の群れ」のように感じて強い恐怖と孤独を抱えていました。
そんな壊れかけていた乱歩を救ったのが、当時用心棒をしていた福沢諭吉でした。福沢は乱歩にありふれた黒縁メガネを渡し、「お前の頭脳は異能だ。このメガネをかけた時だけ、その異能を制御して力を発揮できる」と方便を使いました。これにより乱歩は「他人が自分と違うのは、自分が特別な異能者だからだ」と納得し、世界への恐怖から解放されたのです。
そして福沢は、その余りに突出した才能ゆえに狙われ、孤立してしまう乱歩を守り、彼が才能を正しく振るえる居場所を作るために「武装探偵社」を設立しました。乱歩にとって福沢は、単なる上司を超えた「人生の恩人」であり、乱歩が唯一頭の上がらない絶対的な存在となっています。