第1次政権退陣後の安倍氏を支えたのは、消化器内科における最新の薬物療法だった。特に2009年に日本で潰瘍性大腸炎への適応が承認された「アサコール(一般名:メサラジン)」や、分子標的治療薬(抗TNF-α抗体製剤)などの登場が、彼の政治生命を劇的に引き延ばしたとされる。
従来のステロイド治療では副作用のリスクが高く、長期的な寛解維持が困難だった。新薬の導入によって腸の炎症が劇的に抑えられ、第2次政権下での7年8ヶ月におよぶ長期執務が可能となった。医療技術の進歩が一国のリーダーの在任期間を直接左右したという意味で、日本医療史においても象徴的な出来事といえる。