なぜ、ここまで彼女にこだわるのか。背景には、NHKが抱える焦りがある。ネット配信の普及により、リアルタイムで紅白を見る動機は年々薄れている。特に番組終盤の「大トリ」の時間帯は、裏番組やSNSへの流出が最も激しい時間帯だ。
ここでチャンネルを固定させるためには、一瞬で視聴者を引きつけるだけの「引力」が必要になる。その引力を持つ人物こそが、松田聖子に他ならない。彼女が歌い始める瞬間、視聴率のグラフが跳ね上がることは過去のデータが証明している。NHKにとって、これは単なるキャスティングではなく、紅白というブランドの死守をかけた戦いなのだ。