杉田あきひろの歩みは、華々しいエリート街道と深い挫折が交錯するドラマそのものです。福井県小浜市に生まれた彼は、名門・慶應義塾大学文学部哲学科(美学美術史学専攻)に進学。在学中から類まれな音楽的才能を発揮し、ミュージカルの世界へ飛び込みました。
劇団四季の舞台『キャッツ』(スキンブルシャンクス役)や『オペラ座の怪人』などで確かな実績を積み上げた後、1999年4月にNHK『おかあさんといっしょ』の「9代目うたのおにいさん」に就任。18代目うたのおねえさんであるつのだりょうことコンビを組み、2003年4月までの4年間にわたり全国のお茶の間を温かい歌声で包み込みました。
しかし、番組卒業後に待ち受けていたのは厳しい現実でした。イメージの固定化による仕事の伸び悩み、ミュージカル俳優としての焦燥感、そして芸能界特有の孤独感やプレッシャーが徐々に精神を蝕んでいきます。心の隙間を埋めるようにして手を出してしまったのが違法薬物でした。
2016年4月、覚醒剤取締法違反(所持・使用)の現行犯で逮捕。かつて「子どもたちのヒーロー」であった男の転落劇は、日本社会に大きな衝撃を与えました。裁判では懲役1年6か月・執行猶予3年の有罪判決が下され、築き上げてきた名声も信頼も一瞬にして崩壊しました。