演出方針への賛否がある一方で、メディア各社や原作ファンからも満場一致で称賛されたのが、奇跡的とも評される実写キャスト陣の原作再現度です。当時すでに数々の少女漫画実写化で「実写化王子」の異名をとっていた山﨑賢人が、ピンクの髪に制御装置の角をつけ、表情を一切崩さず淡々とモノローグで突っ込む斉木楠雄を完璧に体現しました。
特筆すべきは、照橋心美を演じた橋本環奈の覚醒です。周囲の男性を全員「おっふ」とひれ伏させる圧倒的な美貌を誇りながら、内心の黒い腹黒さを表現するために披露した壮絶な白目や顔芸は、彼女が「コメディエンヌ」としての地位を確立する決定打となりました。現場インタビューでも福田監督から「もっと顔を歪めて」と指示を受け、限界を超えた表情作りに挑んだことが明かされています。
さらに、漆黒の翼を自称する中二病の海藤瞬を演じた吉沢亮の怪演も語り草です。端正な顔立ちを完全に崩し、震える右手を押さえながら独自の決めポーズを連発する姿は、原作からそのまま抜け出してきたかのような衝撃を観客に与えました。この2人の熱演だけでも作品を観る価値があると、今なお高く評価されています。