インターネット上やSNSでは、その威圧的な外見からいくつかの誤解が独り歩きしています。現場の観察データに基づき、それらの真偽を検証します。
誤解1:重すぎて空を飛ぶことができない?
「装甲車のような体型ゆえに飛べない」と誤解されがちですが、実際には巨大な後翅(こうし)を羽ばたかせて力強く飛行します。ただし、自重が非常に重いため、地面からヘリコプターのように垂直離陸することは苦手とされています。野生下では木の幹を爪でよじ登り、高い樹冠から飛び降りるようにして滑空・飛行を開始します。夜間、強力な水銀灯や高輝度ナトリウムランプを照射する「ライトトラップ(灯火採集)」に飛来するのはこのためです。
誤解2:見境なく人間を襲う凶暴な性質なのか?
鉛筆をへし折る強力な顎を持つことから「狂暴な殺人昆虫」と誇張されるケースがありますが、本種の気質は基本的に極めて省エネ志向です。成虫は餌を食べず体内の限られたエネルギーで生きているため、無駄な攻撃を仕掛けることはありません。こちらから手を出したり身体を押さえつけたりしない限り、大顎を振りかざして能動的に襲いかかってくることはありません。