ネット上のコミュニティでは、時に「強豪校のネームバリューがあれば多少のミスがあっても代表になれる」といった偏った憶測が飛び交うことがあります。しかし、現場の審査実態を綿密に取材すると、その見方が完全な誤解であることが分かります。
吹奏楽コンクールの審査は、審査員ごとの独立したブラインドに近い集中状態で行われ、規定の審査用紙に各評価項目の点数と講評がその場で記入されます。実際、過去の実績がどれほど華々しい学校であっても、当日の調律やプレッシャーによる乱れがあれば容赦なく金賞を逃し、銀賞や銅賞に沈む波乱は西関東の歴史の中で幾度となく起きてきました。「過去の実績で下駄を履かせる」ような審査の余地は微塵も存在しません。
さらに現在、部活動の地域移行やガイドラインに伴う練習時間制限によって、公立校と私立校、中高一貫校それぞれの練習環境に大きな地殻変動が起きています。長時間練習による圧倒的な反復で仕上げる従来型のアプローチは限界を迎えつつあり、短い時間でいかに個々の奏者がソルフェージュ能力と音楽的自立を高められるかが勝敗を分ける時代に入りました。全日本吹奏楽コンクール全国大会出場校へと駒を進めた団体に共通しているのは、練習量の多さではなく、生徒一人ひとりが主体的に音楽を組み立てる「知的で効率的な練習メソッド」を確立している点です。