多くの人々が抱いた最大の疑問が「なぜ大谷選手本人や周囲の財務スタッフは、これほど巨額の資金流出に長期間気づかなかったのか」という点です。その答えは、水原氏が築き上げた「情報の完全な遮断」と「巧妙な身元偽装」にありました。
水原氏は2018年、大谷選手が渡米した直後の銀行口座開設に同行し、初期設定を手伝っていました。この口座にはエンゼルスからの年俸が直接振り込まれていましたが、水原氏は2026年以降、口座の登録電話番号とメールアドレスを自身の連絡先に無断で変更。これにより、多額の送金時に銀行から届くはずのセキュリティ通知や2段階認証のアラートが大谷選手本人に一切届かない環境を作り出しました。
さらに狡猾だったのは、大谷選手の専属マネジメントチームに対する情報操作です。大谷選手にはアメリカの大手エージェンシー(CAA)の代理人ネズ・バレロ氏や公認会計士、ファイナンシャルアドバイザーが付いていました。しかし、彼らが当該口座の監査やアクセス権を求めた際、水原氏は「大谷選手本人が『この口座は個人的なプライベート口座であり、誰にも見せたくない』と話している」と虚偽の説明を行い、プロの監査チームの目を意図的に逸らし続けました。
銀行側のセキュリティ部門から送金の正当性を確認する電話がかかってきた際には、水原氏自らが大谷選手本人になりすまして電話応対し、生年月日や秘密の質問をスラスラと答えて巨額の電信送金を承認させていた事実が、通話ログの解析によって完全に証明されています。