「さくら」の評価を決定づけた要因として外せないのが、短編映画のような完成度を誇るミュージックビデオの存在です。主演を務めたのは、圧倒的な演技力で知られる実力派俳優の萩原聖人と、当時ティーン誌を中心に圧倒的なカリスマ的人気を誇っていたモデル・女優の鈴木えみでした。
MV内では、過去の恋人(鈴木えみ)との鮮烈な思い出を胸に抱えながら、日常を淡々と生きる大人の男性(萩原聖人)の哀愁と葛藤が見事に描かれています。舞い散る桜の下で見せる鈴木えみのどこか儚く神秘的な微笑みと、一人佇む萩原聖人の切なさを帯びた横顔は、楽曲の世界観を完璧に映像化しました。
当時の制作秘話 エピソードによると、ケツメイシのメンバー自身が前面に出るのではなく、プロの俳優によるドラマ仕立てのMVを制作する手法は、楽曲の物語性を純粋に届けるための戦略的アプローチでした。2005年2月16日のシングル発売直後から音楽番組や街頭ビジョンでこのMVが大量オンエアされ、視覚と聴覚の双方から社会現象を巻き起こす原動力となりました。
この大ヒットの波はそのまま同年6月29日にリリースされた通算4枚目のアルバム『ケツノポリス4』へと引き継がれ、同作はダブルミリオンセラーを達成。日本のヒップホップ・ポップス史における金字塔としての地位を確固たるものにしました。