「パンピ」という言葉が持つトゲの鋭さは、属するカルチャー界隈によって大きく異なります。特に現場主義が徹底されているコミュニティほど、言葉の重みが増す傾向にあります。
代表的な3つの界隈における文脈の違いを整理してみましょう。
1. ヴィジュアル系(V系・バンギャル界隈)
「パンピ」という言葉が最もシビアに使われてきたのが、ヴィジュアル系ロックバンドを愛好する「バンギャ(バンギャル)」の世界です。ライブハウスではヘドバン、逆ダイ、咲きといった特有のノリが存在し、厚底靴やピンヒール、大きな荷物の持ち込みなど、周囲に危険を及ぼす行為は厳しく忌避されます。
V系における「パンピ」は、単なる未経験者ではなく「界隈のローカルマナーを守らず、周囲に迷惑をかける無礼な部外者」を指す辛辣なラベルとして機能してきた歴史があります。
2. 男性アイドル・ジャニーズ(現STARTO等)界隈
アイドルファンの間でも「パンピ」は長年使われてきました。ここでは主に「現場のドレスコードや応援作法を理解していないライト層」を指します。
例えば、公式ルールで定められた胸の高さより上にうちわを掲げて後方の視界を遮る行為や、ツアーTシャツや推しカラーを意識しない過度に日常的な服装、熱狂的なコールについてこられない様子に対して、「あの席、パンピっぽい人ばかりで盛り上がりに欠けた」といった形で使われます。軽度の見下しやため息混じりの愚痴として出現することが多いのが特徴です。
3. 二次元・アニメ・声優オタク界隈
アニメやゲームのファンコミュニティでは、現場でのマナー違反だけでなく「オタクカルチャーへの理解度そのものが浅い一般層」全般を指すケースが目立ちます。日常会話でアニメの専門用語やネットスラングが通じない相手に対し、「あいつはパンピだから話が合わない」と評するなど、排他性というよりは「生活世界の分断」を表すフラットな区分として用いられる場面が多く見られます。