微罪処分を巡って最も多く寄せられる懸念が「前科がつくのか」という点です。結論を明確に述べると、微罪処分によって前科がつくことは法的に絶対にありません。
前科とは、裁判所によって有罪判決(懲役・禁錮・罰金・科料など、略式起訴による罰金刑を含む)が確定した事実を指します。微罪処分の被疑者は裁判にかけられるどころか、検察官へ身柄や調書が送られることすらありません。したがって、検察庁が管理する「前科調書」や、本籍地市区町村の「犯罪人名簿」に名前が載ることは一切ないのです。
ただし、混同してはならないのが「前歴」の存在です。前歴とは、有罪判決に至らないまでも「過去に警察や検察の捜査対象(被疑者)となった履歴」を指します。微罪処分を受けた事実は、警察庁の統合警察情報管理システム内に犯罪捜査資料として半永久的に保存されます。これが一般社会に公表されることはありませんが、万が一将来再び警察に検挙された場合、捜査員端末の画面には過去の微罪歴が即座に表示され、「初犯」としての情状酌量は二度と得られなくなります。
微罪処分と不起訴処分の違いについても明確にしておく必要があります。不起訴処分は「事件が検察官へ送致された後」に、検察官が起訴猶予などの判断を下すものです。一方、微罪処分は検察官の手元に事件が届く前に警察庁舎内で完結します。当事者にとっては、検察庁への呼出や長期間にわたる身柄拘束を回避できる点で、微罪処分は刑事司法における最も早期かつ負担の少ない解決ルートと言えます。