インターネット上の掲示板やSNSでは、溶融亜鉛めっきに関して断片的な情報に基づく誤解が散見されます。実務で失敗しないために、プロが押さえるべき盲点を整理しました。
誤解1:「ドブ漬けなら絶対に歪まないし、どんな鉄骨でもそのまま漬けられる」
約450℃の溶融亜鉛浴に浸漬する際、鋼材には急激な熱膨張と冷却ストレスがかかります。板厚差が極端にある溶接構造物や、片面だけに溶接ビードが走っている薄板フレームなどは、めっき工程で大きな「熱歪み・反り」を生じます。熱歪みを抑えるためには、設計段階で左右対称の形状にする、補強リブを設ける、板厚を極力統一するなどの熱変形対策が欠かせません。
誤解2:「めっきボルトは普通のボルトと同じトルク値で締めればよい」
溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T等)の締め付け管理は、一般的な黒皮ボルトとは挙動が全く異なります。めっき表面の摩擦係数が不安定であるため、締め付け時に焼き付き(かじり)を起こしやすく、規定の軸力が出ないトラブルが起こり得ます。必ず専用の潤滑処理が施されたセットボルト(JIS B 1186対応品等)を用い、規定のトルク係数値に基づいたトルク管理を行う必要があります。