春先の温暖な気候が訪れると、突如として無数の羽アリが室内や庭先に溢れ出す現象が発生します。なぜこの時期に一斉に飛び立つのか、その背景にはシロアリの厳格な生態サイクルが存在します。
ヤマトシロアリの羽アリ発生時期は、全国的に4月中旬から5月下旬に集中しています(※北海道や東北などの寒冷地では6月上旬までずれる傾向があります)。特に「前日に雨が降って湿度が高く、翌朝から気温が20℃前後に急上昇した晴天の昼前後(10時〜14時頃)」に群飛(スウォーム)が一斉に行われます。
この群飛は、巣(コロニー)の個体数が数万〜数万匹に達して飽和状態となった際、全体の数パーセントにあたる生殖虫(将来の女王と王)が羽を生やし、新たな生息地を求めて巣立ちを行う現象です。つまり、室内で見かける羽アリは氷山の一角であり、壁内や床下にはすでに成熟した巨大なシロアリの巣が存在している動かぬ証拠なのです。
ヤマトシロアリの羽アリの特徴として、以下の身体構造が挙げられます。
- 体長:羽を含めて約5〜7mm(本体のみで4.5〜6mm前後)
- 体色:黒褐色〜暗褐色(頭部と胴体がほぼ黒色で、首元に黄褐色の紋がある)
- 羽の特徴:前後の羽が全く同じ大きさ・形状で、半透明の薄墨色。着地すると数分から数十分で自然にポロポロと羽を切り落とす