ネット上の情報や掲示板には、実務経験のない層による古い知識や誤った俗説が溢れています。現場で多発している代表的な3つの誤解を是正します。
誤解①:「マイナンバーカードがあれば、戸籍の原本郵送は一切不要になる」
これは完全な誤解です。2024年3月から戸籍法改正により「戸籍証明書等の広域交付」が開始され、本籍地以外の自治体窓口でも戸籍謄本を一括取得できるようになりました。しかし、三井住友銀行への提出においては、「取得した紙の戸籍証明書原本」または法務局が発行した「法定相続情報一覧図の写し」の現物提出が必須です。マイナンバーの暗証番号やスマホ提示だけで銀行内部の相続手続きが完了するシステムは導入されていません。
誤解②:「通帳と暗証番号を知っていれば、亡くなった直後に全額ATMで引き出してもバレない」
「凍結される前に葬式代を引き出してしまおう」という行為は極めて危険です。銀行側は税務署への報告義務や出入金履歴の厳重な保管を行っており、死亡日当日前後の急激な大口出金は税務調査で確実に捕捉されます。さらに、他の相続人から「勝手に遺産を着服した」と疑われ、民事訴訟(不当利得返還請求)に発展する典型的なトリガーとなります。前述の「仮払い制度」という適法な手続きが存在する以上、秘密裏のATM引き出しは絶対に避けるべきです。
誤解③:「三井住友銀行 相続オフィス 問い合わせ窓口に電話すれば即日で必要書類を郵送してくれる」
相続オフィスは全国からの問い合わせが集中するコールセンターです。電話が繋がっても、その場ですぐに個別判断が下されるわけではありません。口座番号や名義人の生年月日、現在の相続関係をヒアリングされた後、書類の発送まで数営業日を要します。急いでいる場合は、電話口でのやり取りに頼るよりも、公式ホームページの「WEB受付サービス」から必要情報を送信する方が、タイムスタンプが即時確定するため結果的に早く進行します。