2人の距離が縮まるきっかけとなったのは、間違いなく計3作品におよぶ映画での濃密な共演でした。とりわけ菅田将暉さんが小松菜奈さんに対して抱いた感情は、単なる共演者への好意を超えた、表現者としての畏敬の念からスタートしています。
最初の出会いは、2016年5月公開の映画『ディストラクション・ベイビーズ』でした。暴力と衝動が渦巻く極限状態の現場において、当時10代だった小松菜奈さんが見せた剥き出しの存在感と鋭い眼光に、菅田さんは大きな衝撃を受けたと当時の関係者は語ります。同作の舞台挨拶でも、菅田さんは小松さんの物怖じしない演技のスケール感を絶賛していました。
その直後に撮影へ入った同年の映画『溺れるナイフ』で、2人は過酷な運命に翻弄される少年少女を熱演します。和歌山県熊野の険しい大自然のなか、わずか17日間というタイトなスケジュールで行われた過酷なロケは、役者の精神を極限まで追い詰めるものでした。この過酷な現場で、菅田さんは周囲の親しい友人に対して早くも「彼女から目が離せない」「本気で好きだ」と胸中を吐露していたと報じられています。しかし、当時の小松さんは役作りに没頭しており、安易なアプローチを許さないプロとしての凛とした距離感を保っていました。
決定打となったのが、2019年秋に撮影が行われた映画『糸』(2020年公開)での3度目の共演です。平成から令和へと時代を跨ぐ壮大な男女の機微を演じるなかで、10代から共に切磋琢磨してきた2人の信頼関係は完全に熟成されていました。菅田さんの誠実かつブレない情熱がようやく小松さんの心を動かし、2019年秋、映画の撮影期間中に本格的な交際へと発展しました。役柄の感情を私生活に安易に混同させず、表現者としての実力を認め合った末に結ばれた点こそ、2人が惹かれ合った最大の理由です。