2006年春に放送が開始された第74作『純情きらり』において、宮崎あおいはオーディションではなくキャスティング(直接オファー)によってヒロイン・有森桜子役に選ばれました。当時20歳。すでに映画界では名だたる名匠たちの作品で主演を務め、国内外の映画賞を受賞していた彼女の朝ドラ参戦は、業界内外で大きな注目を集めました。
愛知県岡崎市を舞台に、音楽(ジャズピアノ)への情熱を燃やしながら戦争の荒波を生き抜く桜子の姿は、従来の朝ドラヒロインにありがちだった「無邪気な明るさ」だけではありませんでした。理不尽な時代の暴力に苦悩し、大切な人々の喪失に涙を流しながらも、ピアノの前に座ると鬼気迫る情熱を宿す——その多層的な内面描写は、朝のドラマに映画的な陰影を持ち込みました。
当時の制作関係者や共演者の証言によると、劇中のピアノ演奏シーンのために宮崎は猛特訓を重ね、吹き替えなしでの演奏シーンにも果敢に挑戦したと伝えられています。姉役の寺島しのぶ、恋人役の福士誠治、恩師役の西島秀俊ら実力派キャスト陣と丁々発止の掛け合いを演じ、20代前半にして作品を牽引する座長としての器量を証明しました。