本作の評価を決定づけたのは、主要キャスト陣による凄まじい熱演と緻密に計算された相関関係です。主演を務めた長瀬智也は、粗野で孤独な裏社会の住人でありながら、瞳の奥に純粋さと脆さを宿す岡崎律を全身全霊で体現。当時の制作発表やインタビューでも「律の生き様には嘘がない。言葉ではなく魂で演じたい」と語っていた通り、無言の立ち姿だけで過酷な人生を背負う男の哀愁を表現し尽くしました。
ヒロインの三田凛華を演じた吉岡里帆は、献身的で真っ直ぐな愛情を律に注ぎ、彼にとって唯一の心の救いとなる存在を好演。サトルを幼少期から慕う幼馴染としての葛藤と、運命的な律への恋心の間で揺れる繊細な心理変化を丁寧に演じ分けました。また、愛息サトル役の坂口健太郎は、母の過保護な愛情を浴びて育った無垢な天才ピアニストの脆さを繊細に体現し、物語の対比構造を際立たせています。
そして本作の精神的支柱となったのが、母・日向麗子を演じた大竹しのぶの圧倒的な怪演です。サトルへの狂気的な執着と、知らず知らずのうちに実子である律を拒絶してしまう残酷さを、圧倒的なリアリティで表現。律と麗子が直接対峙する終盤のシーンは、日本ドラマ史に残る名演として高く評価されています。さらに、宇多田ヒカルが本作のために書き下ろした主題歌「Forevermore」の重厚なストリングスと切ない歌声が、登場人物たちの救われない感情とシンクロし、物語の悲壮感を最高潮へと押し上げました。
神奈川県内や都内各所のストリート、そして物語の起点となった韓国ロケ地など、洗練された映像美とロケーションの選定もまた、登場人物たちの孤独な心象風景を際立たせる大きな要素となりました。