SNSの短い動画や写真では伝わりにくい「リアルな飼育現場の苦労」について、実際の飼い主へのヒアリングや獣医師の見解から見えてきた3つの盲点を整理します。
第1の盲点は、日本の過酷な夏と空調コストです。寒冷地原産の犬種やダブルコートの密生した犬種は、日本の高温多湿な夏に極めて脆弱です。5月から10月にかけての約半年間は、エアコンを24時間設定温度20〜23℃前後でフル稼働させる必要があり、近年の電気料金水準では冷房費だけで毎月数万円の上乗せが発生します。
第2の盲点は、換毛期の抜け毛と皮膚トラブルです。春と秋の換毛期には、小型犬であってもゴミ袋いっぱいの抜け毛が出ます。ブラッシングを怠るとあっという間に毛玉になり、皮膚の通気性が損なわれて重度の膿皮症や皮膚炎を引き起こします。超大型犬の場合、1回のシャンプーと乾燥に2〜3時間を要することも珍しくありません。
第3の盲点は、生涯医療費と老後の介護負担です。大型〜超大型犬は成長期における股関節形成不全のリスクが高く、寿命も8〜11年と小型犬に比べて短い傾向があります。シニア期に入った体重50kg以上の愛犬を寝返りさせたり、排泄補助を行ったりするには成人複数人の介護力が必要です。熊みたいな犬の子犬価格だけでなく、生涯にかかるトータルコスト(医療費・フード代・介護用品)を事前にシミュレーションしておくことが不可欠です。