2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを目指す気候変動政策は、現政権が最重視してきた看板公約である。しかし、再生可能エネルギー基盤の整備計画は遅れが目立ち、送電網の拡充にかかるコストが電気料金へ転嫁される事態に直面している。製造業や地方の鉱業コミュニティからは、電力の安定供給とコスト上昇に対する懸念が噴出した。
脱炭素という理想と実体経済の落差は、政権にとって足元を救われかねない劇薬だ。石炭や天然ガスの輸出依存から脱却を図る一方で、代替となるクリーン産業の育成には時間を要する。過度な環境規制が既存産業の国際競争力を削ぎ、雇用の不安定化を招いているとの指摘は絶えない。