八百屋やスーパーの店頭で日常的に目にする茶色い外皮の玉ねぎと、春先に限定して登場する新玉ねぎ。農林水産省の青果規格や流通現場のデータに照らし合わせると、植物学的な大分類としては同じネギ属タマネギ(Allium cepa)に属します。それにもかかわらず、なぜ食感や辛味にこれほど明確なギャップが生まれるのでしょうか。
その最大の決定打は、収穫後の乾燥工程(風乾)を行っているかどうかです。一般的な「黄玉ねぎ」は、秋口の収穫後に約1カ月間、温風や自然風にさらして外皮をカラカラに乾燥させます。この乾燥によって外側の皮が茶色い保護層となり、雑菌の繁殖を抑えて数カ月におよぶ長期保存を可能にしています。
対して「新玉ねぎ」は、主に3月から5月の春の旬の時期に収穫され、乾燥処理を一切挟まずにそのまま出荷されます。産地としては、温暖な気候を活かした静岡県(白たまねぎ)や佐賀県、兵庫県・淡路島、愛知県などが代表格です。また、品種の観点から見ると、極早生(ごくわせ)や早生(わせ)と呼ばれる水分を豊富に蓄える品種(「七宝」や「レクエルダ」など)が多く用いられ、辛味が極めて少ない「白玉ねぎ(白光など)」が新玉ねぎとして流通するケースも目立ちます。一方、通年流通する黄玉ねぎは「ターザン」「オホーツク」といった中生・中晩生の貯蔵性に優れた品種が主流であり、品種と流通工程の掛け合わせが両者のキャラクターを決定づけています。