結婚発表の翌日、ヤンキースのキャンプ地で行われた記者会見は、日本のメディア史に残る名シーンとなった。報道陣の前に立った松井氏が掲げたのは、写真ではなく、自らがマジックで描いた妻の似顔絵だった。
「あまり似ていない」と照れ笑いを浮かべる松井氏の姿に、張り詰めていた記者たちの肩の力も抜けた。素性を明かさない姿勢を貫きつつも、ユーモアを交えてメディアを煙に巻く。この絶妙なバランス感覚こそが、世間の好感度をさらに高める結果となった。プライバシーを守りながらも、ファンへの義務を果たす。その境界線があの似顔絵に凝縮されていた。