炭治郎が死力を尽くしたヒノカミ神楽と禰豆子の爆血により、累の首は刎ねられたかに見えました。しかし累は、刃が首に触れる直前に自らの糸で自身の首を切断することで致命傷を回避していました。怒り狂った累が炭治郎に止めを刺そうとしたその瞬間、戦場に駆けつけたのが水柱・冨岡義勇でした。
義勇は累の最大火力である「殺目篭」を、自身が編み出した「水の呼吸 拾壱ノ型 凪(なぎ)」によって一切触れることなく無力化。間髪入れずに放たれた一閃により、累の首は音もなく切り落とされました。格の違いを見せつける圧倒的な幕引きでした。
首を落とされ、体が灰へと崩れゆく中、累の脳裏には炭治郎が禰豆子を命がけで庇う姿が焼き付いていました。失われていく意識の中で炭治郎が累の背中にそっと手を置いた瞬間、累の心に温かな感触が広がり、封印されていた人間時代の記憶が溢れ出します。
「ごめんね、父さん、母さん…全部僕が悪かったんだ」
犯した罪の重さに涙を流し、地獄の業火に焼かれる覚悟を決めた累の前に現れたのは、かつて自らが手にかけてしまった両親の魂でした。両親は累を責めることなく、「一緒に行くよ、地獄でも。父さんと母さんは累と一緒ならどこへでも行くよ」と優しく抱きしめます。恐怖で他者を縛り付ける必要などなかった、自分は最初から無条件に愛されていたのだと気づいた累は、両親の胸の中で泣きじゃくりながら消滅していきました。炭治郎の慈悲の手が、累に最期の救いをもたらした瞬間でした。