北口選手の強靭な精神力の原点は、その異色とも言える生い立ちとキャリア選択にあります。北海道旭川市の名門進学校である旭川東高校出身の彼女は、もともと競泳やバドミントンで全国レベルの実力を持つ類まれな運動神経の持ち主でした。高校入学後にやり投げと出会い、わずか数か月で全国大会上位へ食い込む天性の才能を発揮します。
彼女の才能を育んだのは、温かくもアスリート気質を理解する両親の存在でした。父は有名洋菓子店のシェフパティシエ、母は元実業団バスケットボール選手という家庭環境で育ち、幼少期から「プロとしてのこだわり」と「アスリートとしての身体感覚」を自然と吸収してきました。
高校卒業後、日本大学へ進学した北口選手は、自身の投擲フォームを抜本的に見直すため、やり投げ大国チェコの指導者であるデイビッド・セケラック氏に自らダイレクトメールを送るという大胆な行動に出ました。通訳を介さず直接コミュニケーションを取るため、難解とされるチェコ語を独学で習得。現地メディアのインタビューに流暢なチェコ語でジョークを交えて答え、チェコ国内でも国民的人気を博すまでに至った言語適応力は、彼女の類いまれな知性と行動力を証明しています。