見慣れない「+1」という国コードは、北米電話番号計画(NANP)に属する地域、すなわちアメリカ合衆国やカナダ、一部のカリブ海諸国を指しています。そして、その後に続く「833」という3桁の数字には、通信の仕組み上における決定的な特徴が存在します。
米国連邦通信委員会(FCC)の規程において、「833」は「800」「888」「877」「866」「855」「844」と並ぶトールフリー番号(着信者課金電話番号)として割り当てられています。日本でいう「0120」や「0800」のフリーダイヤルに相当する企業窓口用の番号帯であり、2017年より急速に逼迫したフリーダイヤル需要を補うために運用が開始されたコードです。
本来であれば米国内の正規企業やカスタマーサポートが顧客対応のために取得するものですが、なぜ日本の一般ユーザーのスマートフォンに着信が相次いでいるのでしょうか。サイバー犯罪取材の現場関係者によると、インターネット回線を利用したVoIP(Voice over IP)技術の進化により、海外の犯罪組織が発信者番号(Caller ID)を「+1 833」などの企業信用度の高いトールフリー番号に偽装(スプーフィング)して一斉発信する手法が定着している実態が明らかになっています。大手企業や公的機関からの連絡を装うことで、受信者の警戒心を解く心理的トラップが仕掛けられているのです。