社会的な制裁を受けた一方で、警察・検察による「役員逮捕の可能性」はどうなっているのでしょうか。
結論から言えば、役員個人の刑事責任追及には極めて高いハードルが存在しています。
街路樹への除草剤散布を巡る問題では、器物損壊の疑いで関係各所の家宅捜索が行われ、実行役の元店舗関係者や一部幹部が書類送検されました。しかし、本丸である保険金不正請求に伴う「詐欺罪」での立件は容易ではありません。刑法上の詐欺罪を役員個人に適用するには、「経営陣が現場に対して具体的に保険金の不正請求を指示・共謀した」という明確な証拠が必要だからです。
当時の社内調査やLINEの履歴からは、「数字を上げろ」「なぜ目標に届かないのか」という過度なプレッシャーは確認されたものの、「車を故意に傷つけて保険金を水増し請求しろ」と役員自らが直接指示した決定的な物証を立証するのは困難を極めます。結果として、組織としての違法性を認識しながらも、首脳陣個人の逮捕にまで踏み切れない司法の現実が横たわっています。