猫の身体には、フェロモン分泌部位(臭腺)が特定の場所に集中して存在しています。どの部位をどこにこすりつけているかによって、その時々の感情やメッセージの強度が異なります。
猫の主な臭腺は、側頭部(耳と目の間)、頬・口角、顎の下(頤下腺)、尾の付け根(尾腺)、そして肉球(足底腺)に分布しています。それぞれの部位ごとの行動心理は以下の通りです。
猫の頭突き(ヘッドバンギング):額や頭頂部を飼い主の顔や手に勢いよくぶつけてくる行為は、非常に高い信頼と親愛の証です。「F3フェロモン」と呼ばれる顔面フェロモンを分泌し、安心できる相手に対して自分の匂いを共有しようとしています。
顎や頬のこすりつけ(猫顎すりすり):机の角やスマートフォンの角などに顎や口元をグイグイと押し当てるのは、最も一般的なテリトリーマーキングです。顎下腺から分泌されるフェロモンによって、その物体を「安全認定」しています。
壁や柱に体をこすりつける:胴体全体やしっぽを巻き付けるようにして壁沿いを歩く行動は、空間全体の境界線に自分の匂いバリアを張る行為です。引っ越しや模様替えの直後にこの行動が急増するのは、消えてしまった安心の匂いを取り戻そうとする防衛反応といえます。