SNS上では舌の位置によるビフォーアフターとして、まるで美容整形手術を受けたかのように下顎が前進した写真が出回ることがあります。しかし、科学的・解剖学的な見地から過度な幻想は排し、事実を正確に把握しておく必要があります。
舌の位置で顔が変わる期間と変化の現れ方は、年齢および組織の種類によって明確に分かれます。
第一段階として、舌を正しいスポットに吸着させた瞬間から数日〜2週間程度で生じるのは「筋肉の即時引き上げ効果」です。たるんでいた顎下の皮下組織が内側から吊り上げられるため、むくみが抜け、二重あごの解消や横顔のEライン周辺のシャープさが目に見えて改善します。
第二段階として、3カ月から6カ月の継続により、舌挙上筋や表情筋が筋肥大・トーニング(筋緊張の適正化)を起こします。これにより、意識しなくても舌が落ちない状態が習慣化し、口元の締まりやほうれい線の緩和が定着します。
一方で、「大人の骨そのものが劇的に前へ突き出る」といった骨格自体のリモデリングは、骨癒合が完了している成人期においては限定的です。骨格変化がダイナミックに起きるのは頭蓋骨の縫合が柔らかい成長期(10代前半まで)に限られます。大人のビフォーアフターの本質は、「骨格自体の変形」ではなく「下垂していた軟部組織の劇的なリフトアップと筋緊張の正常化による輪郭補正」であると理解するのが現実的です。