胡蝶しのぶと童磨の因縁の原点は、元花柱であった最愛の実姉・胡蝶カナエの死にあります。数年前に童磨と遭遇し致命傷を負ったカナエは、事切れる直前に「鉄扇を使う」「血を吸わずに全身を喰い散らかす」「感情が欠落している」といった童磨の特徴をしのぶへ言い残しました。この瞬間から、しのぶの人生のすべては童磨を屠るための復讐へと捧げられることになります。
しかし、しのぶは柱の中で唯一「鬼の首を刀で切り落とせない」小柄な体格でした。上弦の弐という規格外の再生力と氷の血鬼術を持つ童磨に対し、通常戦闘での勝率が皆無であることを誰よりも冷静に理解していたのです。そこでしのぶが導き出した冷徹な作戦こそが、「自らを丸ごと猛毒の餌として喰わせる」という自己犠牲の奇策でした。
しのぶは鬼殺隊の協力者である鬼の医師・珠世の助言と協力を得て、実に1年以上の歳月をかけて藤の花の毒を日常的に摂取し続けました。血液、内臓、爪の先に至るまで全身の細胞に毒を行き渡らせた結果、彼女の肉体は体重37kg分、鬼の致死量の約700倍に相当する生きた劇薬へと変貌を遂げていたのです。