鉄骨建方の現場において、高力ボルトの施工はミリ単位の精度と厳格なステップを踏んで進行します。単に一度締め付ければよいわけではなく、部材の密着ムラをなくすために「一次締め → マーキング → 本締め」という3段階の手順がJASS 6(建築工事標準仕様書 鉄骨工事)等で義務付けられています。
まず、手動トルクレンチや専用電動レンチを用いて規定トルクの約50〜60%で「一次締め」を行い、接合板同士の浮きや隙間を密着させます。続いて、ボルト頭部・ナット・座金・鋼板にまたがる直線マーキング(白ペンや専用マーカー)を施します。このマーキングは、本締め後の「共回り(ボルト軸が一緒に回ってしまう現象)」や「ナットの回転不足・締め過ぎ」を目視で瞬時に検査するための重要なエビデンスです。
最後に専用機で「本締め」を行い、トルシア形であればピンテールの破断を確認し、六角ボルトであればトルク管理値とナット回転角(概ね120°±30°)を厳密に検査します。適切な高力ボルトの軸力管理が行われない場合、設計通りの摩擦耐力が発揮されず構造計算上の耐震安全性が損なわれるため、現場監理者による全数検査や抜き取り検査が徹底されています。