「野菜はとりあえず冷蔵庫に入れておけば安心」という思い込みは、トマトにおいては鮮度を落とす大きな原因になります。トマトの生育適温は15℃〜25℃前後であり、5℃以下といった過度な低温環境に長時間さらされると、細胞膜が破壊されて果肉が粉っぽくなり、みずみずしい食感が失われてしまいます。
さらに見逃せないのが「香り成分の減少」です。米国の研究機関による調査でも、トマトを4℃前後の環境で数日間保存すると、トマト特有のフレッシュな風味を生み出す揮発性芳香化合物の生成酵素がストップし、常温に戻しても香りが完全には回復しないことが実証されています。甘みと酸味のバランスが崩れ、いわゆる「水っぽくて味の薄いトマト」になってしまうのは、冷やしすぎによる低温障害が主な要因です。
また、美容や健康維持で注目されるトマトのリコピンなどの栄養キープの観点からも、温度管理は重要です。真っ赤に完熟する前のトマトには抗酸化作用を持つリコピンがまだ十分に生成されておらず、低温下では追熟が止まってしまいます。赤みが足りないトマトは、まず常温でリコピンを増やしてから保存するのが理にかなった選択です。