インターネット上の掲示板や知恵袋などでは、「花火は火薬を使うのだから、雨が降れば湿気て打ち上がらないはずだ」という誤った思い込みが根強く語られています。しかし、これは現代の煙火技術に対する大きな誤解です。
現代の花火玉(煙火)は、幾重にも厳重な防水紙や防湿フィルムでラッピングされており、筒(打上筒)にセットされた後は防水カバーで保護されています。電気点火装置も高度に防水処理が施されているため、雨が降っているという物理的現象そのもので火薬が不発になることはほぼありません。
では、なぜ雨天時に中止が検討されるのか。真の理由は「花火が上がらないから」ではなく、「雲底高度の低下による視程不良」と「観客の避難安全性の喪失」にあります。
低い位置に濃い雨雲が立ち込めると、打ち上がった花火が雲の中に突入してしまい、下からはただ雲が光っているようにしか見えなくなります(いわゆる「雲中爆発」)。さらに重大なのが、臨海部特有の地盤と排水能力の限界です。数万人規模の群衆が一斉に避難する際、豪雨で足元が冠水していれば暗闇の中で転倒事故や将棋倒しが発生する危険性が跳ね上がります。主催者が雨天時に中止を下すのは、煙火の都合ではなく、100%群衆安全管理上の理由によるものです。