現場取材やSNS、大手コミュニティに寄せられた当事者の声をつぶさに検証すると、MP関節の痛みを経験した人々の約7割が、初診に至るまでに1ヶ月以上のタイムラグを発生させていることが浮き彫りになります。
都内のIT企業に勤務する40代女性は、手記のなかで次のような生々しい告白を残しています。「最初は右手の示指と中指の付け根がなんとなく重だるく、キーボードの叩きすぎやスマホの重さによる腱鞘炎だと思い込んでいました。市販の湿布を小さく切って貼り、だましだまし仕事を続けていたところ、3ヶ月後には朝起きた際にドアノブを回すことすら激痛で不可能に。慌てて専門外来へ駆け込んだ時には、すでに関節リウマチによる滑膜炎が進行し、関節裂隙の狭小化が始まっていました」。
また、趣味でボルダリングやテニスを楽しむ30代男性のケースでは、「指の付け根を強くひねった後、押すと鋭い痛みがあったものの、湿布をしてテーピングを巻いて練習を強行した結果、中手指節関節の側副靭帯が緩んだまま治癒してしまい、握力が以前の半分近くまで低下してしまった」という手記が残されています。
ネット上のQ&Aサイトや知恵袋でも、「指の付け根を押すと痛い」「手を握ると骨の出っ張りが痛む」といった相談に対し、「腱鞘炎だから休ませれば治る」「温めれば良い」といった素人判断のアドバイスが横行しています。しかし、現場の専門医が口を揃えるのは、「中手指節関節の痛みは、安静だけで解決する単純な筋疲労であることの方が極めて稀である」という冷徹な事実です。