だが、激しい情熱によって結びついた関係は、時間の経過とともに変質を余儀なくされる。約8年間に及ぶ交際と共同制作の末、2014年秋、二人は静かに破局を迎えた。理由として囁かれたのは、結婚に対する価値観のズレや、長年の摩擦によって生じた創作上の疲弊だった。
音楽家同士の熱病のような同棲生活は、お互いのエネルギーをすり減らしていく側面も持ち合わせていた。小林の完璧主義的なプロデュースワークと、一青窈の直感的かつ本能的な言葉のひらめきは、時に激しく衝突した。愛と仕事が不可分に絡み合った関係は、ピークを過ぎたことで緩やかに解体へと向かっていったのだった。
破局後、一青窈は2015年にギタリストの桑原聖と結婚し、その後子供を出産。母となり、家庭という穏やかな居場所を得たことで、彼女の表現する世界観は大きな慈愛と包容力を帯びるようになっていく。泥沼のスキャンダルを通り抜けた末に、彼女が手に入れたのは静かな日常と、一人の女性としての揺るぎない成熟だった。